エステの内部、限定公開!

巨体のお客様にマッサージしている自分は偉いと。 それに「キレイになるための手助けをしているんだ」ぐらいに思っていたのです。
だからこそ、自信を持ってお客様に最多のコースを勧められたんですね。 「せっかく代謝が上がってきたんだから、3日と空けずに来たほうがいいですよ」とか、「間を空けちゃうと、以前のカラダに戻っちゃいますよ」とか。
先輩のセールスクを真似ているうちに、私はいっぱしのエステティシャンになっていました。 轡頑張って営業すれば、それだけお金がもらえる当時の勤め先は、痩身にせようフェイシャルにせよ、お客様を飽きさせないよう、次から次、と新しい施術用機械を導入していました。

例えば、低周波痩身機械だったり、温熱スチームだったり、電気的な刺激で脂肪を燃やすEMsだったり。 新しい機械を入れると、その製造元メーカーの営業マンが来て、エステティシャンを集めて使い方の講習をするんです。
そのとき、メーカーの人は、「これは、寝ているだけで筋肉をつけ、脂肪を燃やします」とか「温熱作用で脂を溶かします」とか。 まるで誰でも使うことができる魔法のようなことを得意気に話すのです。
単純な私は、「これは、最高の機械だな。 私も体験したいトくらいだ」なんて信じ切っていました。
だから、私もその請け売りで、お客様に同じことを得意気に語っていたのです。 そうこうしているうちに、私の成績は、どんどん上がっていきました。
毎月コンスタントくにノルマを達成するので、ついに社長に表彰されるまでになったのです。 本社に呼ばれ、本部の人全員の前で表彰され、目鼻として50万円のキャッシュを受け取りました。
みんなが「おめでとう」と言ってトくれる。 自分のしてきたことが認められたような気がして、このときは思わず涙が出ました。

そして、私は「どうせやるんだったら、ナンバーワンになってやる」と覚悟を決めたのです。 そこで、私は当時「1000万エステティシャン」の呼び名も高かったスゴ腕の先輩のテクニックを徹底して真似ることにしました。
その先輩は、とにかく絶品でした。 高額のコースに入会するのを迷っているお客様には、「今決めないとういつまでたってもこのままですよ」と迫る。
下半身太りを気にしているお客様には、「顔もカワイイ」、せっかくそんなに上半身が細いんだから、下半身も同じトくらい細くなるといいですね」と誉め殺しにする。 頬がプクプクのお客様には、「ちょっと下向いてみてトください。
自分のホッぺが見えませんか?それって、いらないお肉なんですよ。 痩身コースに入れば、骨格が変わってトくるから。
まぶたの脂肪もホッぺの脂肪も取れますよ」と提案する。 ブランド狂いのキンキラのお客様には、「いつも本当にお酒落ですよね〜」。
どう見ても褒めるところが一つもないようなお客様には、「お鼻の形がキレイ!」なんて強引な褒め方をしてみたり・・・こんな具合にとにかく口がうまいのです。 成績を上げるには、このセールスクのテクを盗むしかない。
私は、すっかりその先輩のミニ版のようになっていきました。 軍与信枠の少ない客は相手にしない。
ところが、どうにも引っかかったのが、先輩が、陰でお客様の悪口をクソミソに言うところでした。 まるでお客様は、「売上げ製造機」扱いで、お金持ちのお客様が来ると、「あて20万円が来た」と言っては、本当に20万円の商品や施術を追加で売ってしまうのです。

お客様には、何も考えず最多のコースを勧める。 まずは「お金ありき」で、お客様の予算に合ったコースを後から適当に見繕う癖がいつの間にかついてしまったのです。
人の良さそうなお客様には、売れ残りの美顔器を押し込み販売したり、どう考えでも痩身の必要がないスリムなお客様にも、48回ローンで最多コースを売りつけたりしたことがあります。 この頃には、もう店長代理にまで出世してしまいました。
インセンティブで年収が800万円近くあり、ストレス解消と称しては高いアクセサリーや服を買いまくっていたので、お客様の顔が「カルティエの時計」だったり「エルメスのバーキン」に見えたこともありました。 「ああ、このオバサンにあと20万円分売りつければ、1万円入ってトくるな」とか「このキャバクラ嬢のお姉さんは、お金を持ってそうだから、脱毛コースも売りつけてやろう」ってなもんです。
看護師のお客様は、疲れているから落としやすい。 保母のお客様はガツチリ体型を気にしているから、痩身コースが高い。
スチュワーデスは、見栄っ張りの人が多いから、高めのローンを組んでもOK。 私は、エステティシャン本来の技術よりも、こぅした営業マン的なプロになっていました。
それでも、施術の手を抜くことはありませんでした。 「機械」の素晴らしさも信じていたので、自分は「お客様のためになっている」とか「いいことをしている」と信じていたのですから、今となっては、呆れてしまいますよね。
そんなこんなで、私はそのエステのチェーン内でナンバーツーになりました。 でも、あることがきっかけで、この会社から、そしてこの業界から去ることに決めたのです。
そのきっかけとは、例の「万円エステティシャン」の先輩が、あまりに杜撰なクレーム対応をしたことです。 脱毛施術で流血した跡が化膿して水脹れになってしまったお客様が「どうしてくれるの」とお店に乗り込んできたのです。

先輩は逃げまくり、別のエステティシャンに「本社のカスタマーサービスに回して」と指示するばかり。 決して、謝罪することはありませんでした。
それどころか、「脱毛で流血するなんて別に普通だよね。 流血が止まるまで、客に見せなきやいいんだから」なんて平気で言う始末です。
さらに、呆れたのが、48回コースを申し込んだお客様が「途中で解約したいから、残りの金額を返してほしい」と言ってきたときのこと。 これまた、自分は逃げまトくり、後輩エステティシャンに「とにかく返金しちやダメ」と言うように糸を引いていたのです。
やってもいない施術代を要求するなんて、そんなバカな話があるかと思い、スッ−と正気に戻りました。 そして、私はエステ業界から身を引くことを決めたのです。
今では、「私もずいぶんお客様にひどいことをしてきたんだろうな」とすっかり反省し、普通の事務職のO」をやっています。 飲食店を開業するには、保健所に許可を申請しなければいけません。
さらに、食品衛生責任者の資格を持つ人を最低でも一人確保することが条件です。 こうした許可申請、資格はヘビの分野においても存在するものです。
ましてや、人間のカラダに関わることですから、エステはより厳しい許可申請や資格があってもおかしくないはずです。 ェステと同じ美容の分野である美容室や理容院を営業するには、美容師や理容師の資格が必要なうえ、飲食店同様に保健所に届け出を出す必要があります。
なおかつ、消費者に身体的な被害や衛生上の問題が発生しないよう、保健所による指導監督が定期的に行われています。 ところが、エステサロンの開業については、今のところ何の規制もありません。
つまり、エステサロンを開業するのに、公的機関に届け出を提出して認可してもらう必要はなく、法的にも行政的にもなんら取り締まりが行われていないのです。

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